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November 19, 2007

拝啓 初等中等教育分科会教育課程部会様 その2

(1)地歴科目における時空間軸の形成
 高等学校教員になり20年間、地歴・公民科目を教えて参りました。そして日本史・世界史・地理・現代社会・政治経済など、倫理を除く全ての科目を担当致しました。その中で、強く感じることは、高校生の頭の中に時間軸と空間軸を形成することの重要性です。近年メンタルマップという言葉が流行っていますが、単なる空間認識ではなく時空間の認識(いわば時空間マップとでも言うのでしょうか)が重要ではないかと考える次第です。
 どのような出来事、事件であっても必ず年代と場所が存在するはずです。その両者を考えて初めて正しい位置が理解できるのではないでしょうか。独立宣言は1776年ですが、それは18世紀の時間的流れを理解すればいいというものではなく、アメリカ東海岸とヨーロッパの位置と当時の植民地域が理解できて初めて、頭の中に独立宣言の位置づけが出来るのではないかと考えます。
 このような考え方をする(時空間的な位置を知る)ことによって、はじめて自分が生きている「現在」というものの位置づけを理解することができ、将来の方向性をも考察することが出来るのではないかと考えます。そう考えると、歴史教育の目的は、頭の中の時間軸に目盛りをふることであり、地理教育の目的は空間軸に目盛りをふることだと理解できます。
 日本では歴史番組の隆盛を見ればお分かりのように、ともすれば歴史認識が重要視され空間認識が軽視される傾向にありますが、上述のことから歴史・地理の両方が重要であると考えます。
 日本史・世界史・地理のどちらも授業を担当した経験から、生徒の空間認識は時間認識に比べ、非常に低いように思われます。したがって、今回の貴発表の中で、地理歴史科において「地図を活用した学習を一層重視する」と述べられている点については、当を得た内容だと考えています。しかしながら、世界史だけが必修になっていることについては、理解しがたい点です。
 無論、小学校・中学校においてカリキュラム的に世界史的視点が欠けていることは十分理解しています。しかし先ほど述べましたように、頭の時空間軸を形成することが、目的の一つと考えるならば、中学校において(小学校は難しいかもしれません)世界史教育があってしかるべきではないでしょうか。小学校・中学校は義務教育であり、高等学校はほとんど全員(97%)入学とはいえ義務ではありませんから、その点を踏まえると、中学校卒業時に一定の完成形が求められると思われれます。高校が中学校で学べなかった世界史の補償する立場に立つべきではないと考えています。高等学校は義務教育段階終了である中学校をふまえ、社会への出口となる段階を目指すべきではないでしょうか。
 結論としては世界史の必修を外し、地歴で2科目必修にして欲しいと考える次第です。このように申し上げると、地理教育を重視しろと申し上げているように思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。生徒の頭に形成される時間軸と空間軸は同等のウェイトであるべきだと思っています。ですから歴史学習と地理学習は同等にすべきではないかと申し上げたいのです。

11月7日「教育課程部会におけるこれまでの審議の状況について」が発表されました。現在、パブリックコメントを募集中です。12月7日締め切りです。

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